海外のお花屋さん

高校を卒業してすぐ、大嫌いだった日本を飛び出して、アメリカのサンフランシスコに留学をしました。
今では大好きな日本ですが、その当時は日本人の国民性とか、回りくどさとか、そういうのが全て煩わしく思えていたのです。
目指したのは、憧れのカリフォルニアでした。

 

海外の花屋さんの街並み

最終的に落ち着いたのはサンフランシスコの街でしたが、学校では日本人も多く、なかなか英語が上達しないのが心配になってきたところへ、友人から花屋のアルバイトに誘われたのです。
サンフランシスコは物価や住居費が高いと感じていたのもあり、私はそのアルバイトに飛びつきました。
花の知識なんて微塵もない私でしたが、店長はとても良くしてくれました。
サンフランシスコのお洒落な花屋。こんな環境で働けることを大変嬉しく思っていました。

海外の花に対する文化

結婚記念日だからと花を買って帰る紳士や、テーブルに飾る花を週に3回買いにくるマダムに、私はうっとりしました。
ある日、アバクロの服を若者らしく着こなした10代の青年がやってきました。
あまりこのお店に来るような客層ではなかったため、とても印象的な出来事でした。
その青年は照れくさそうに店内を見回し、カウンターの奥で作業中の店長に聞こえないような小声で、「女性ってどんな花が好きなんだろう。19歳の女性なんだけど」と私に尋ねました。

プレゼントとして定番のお花

私はあまりに花に無知だったため、この青年の恋路を何かしらの失敗で邪魔してはいけないと思い、店長に意見を聞こうとしました。
青年は慌てて私の腕を掴み、私の見立てで構わないと言いました。
それならと私は最大限の見立てで、青年に3種類の花を提案し、店長に花束にしてもらいました。

 

お洒落なワンシーン

仕事が終わって帰る途中、イタリアンレストランのテラス席で女性と食事をするあの青年を見つけました。
なるほど、相手は私と同じ年頃のアジア系の女性でした。
青年が花束を差し出すところまで見届けて、家路につきました。
お洒落なサンフランシスコの街並みの、お洒落なワンシーンに貢献できたような気がして、帰りの足取りはとても軽かったです。